病院・薬局・介護施設の基本データをCSVで一括取得

医療・介護SaaSの新規開拓で商談化しない3つの理由

|競合に先を越されるインサイドセールスの失敗パターンと回避策【失敗しないために】

公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、介護ソフトの導入率は2025年時点で67.5%に達し、3年前の50.4%から大きく上昇しています。特に入所型施設では7割を超え、すでに「導入していない事業所を探す」フェーズから「今使っているシステムから乗り換えてもらう」フェーズに市場が移っていることがわかります。

この変化は、医療・介護向けSaaSのインサイドセールスにとって厄介です。白地(未導入)の開拓が難しくなる一方、乗り換え提案は競合との一騎打ちになりやすく、タイミングやアプローチを誤ると、商談化する前に競合に決められてしまいます。

本記事では、インサイドセールスがよく陥る3つの失敗パターンを、競合軸(なぜ競合に先を越されるのか)で整理します。

既存システムからの乗り換え提案は、契約更新月の数カ月前が最も検討されやすいタイミングです。しかし更新月がわかる情報源を持たないインサイドセールスは、問い合わせや紹介など「向こうから来た機会」にしか対応できず、能動的なタイミングでのアプローチができません。

機会損失の規模感
契約更新のタイミングを把握できないまま営業リストに架電すると、すでに競合が先に接触し検討が進んでいるケースに当たる確率が上がります。既存システムへの不満が顕在化してから接触するのでは、比較検討のテーブルにすら乗れないまま失注することになります。

「今より安くなります」という価格訴求だけでアプローチすると、相手も価格軸だけで他社と比較するようになります。価格は必ずより安い競合が現れる可能性がある軸なので、価格勝負に持ち込まれた時点で、値下げ体力のある大手に分が悪くなります。

機会損失の規模感 価格だけで比較のテーブルに乗ると、値引き合戦の消耗戦になりがちです。本来訴求すべき「対象施設の運用に合った機能」「導入後のサポート体制」といった差別化ポイントを伝えられないまま、価格だけで比較されて失注するケースが後を絶ちません。

「介護ソフトの導入率が67.5%」という数字を見て、「残り3割強に営業をかければいい」と考えるのは早計です。実際には、既存システムに満足していて乗り換え意欲がまったくない事業所も多く含まれており、そこに架電・訪問の工数をかけても商談化率は上がりません。

機会損失の規模感 ターゲットを絞り込まずに架電すると、1件あたりの商談化までの工数が膨らみ、インサイドセールス1人当たりが月間で対応できる有望リード数が目減りします。結果として、本来なら早期にアプローチできたはずの「開設間もない・システム未導入の可能性が高い施設」への接触が遅れ、そこに競合が先に入り込むという悪循環が生まれます。
観点うまくいかない人成果を出す人
タイミング問い合わせが来るのを待つ施設の開設時期・規模から、システム未導入の可能性が高い先を先回りして把握する
訴求内容価格の安さを前面に出す対象施設の種別・規模に合わせて、機能面・サポート体制の違いを具体的に伝える
ターゲット選定エリア内の施設に手当たり次第架電する施設の属性データで絞り込み、確度の高い先に工数を集中させる
データ活用のヒント
介護施設データの「開始年月日」を確認すると、開設から日が浅い事業所を見つけられます。新規開設の事業所は、既存システムへの乗り換えコストが発生しない「白地」に近い状態であることが多く、優先的にアプローチする価値があります。 医療機関データと組み合わせれば、訪問診療や在宅医療に積極的な医療機関との連携実績を訴求材料として使うこともできます。対象施設の種別・規模・連携状況を見たうえでアプローチ内容を変えることが、価格勝負を避ける近道です。

介護ソフトの導入率が上がったことは、営業が楽になったことを意味しません。むしろ「乗り換え」という難易度の高い商談が主戦場になり、タイミング・訴求内容・ターゲティングのどれか一つを誤るだけで、競合に先を越されやすくなっています。

まずは自社の対象エリア内で、開設間もない施設や属性が近い施設をデータで洗い出し、少数の優先ターゲットに絞ってアプローチの質を上げるところから始めることをおすすめします。手当たり次第に架電を増やすより、精度を上げた方が、結果的に商談化率は上がります。

・公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」(介護ソフト導入率に関する調査結果)