| 📋 この記事のペルソナ:医療・介護向けSaaSのインサイドセールス担当 |
1. はじめに――6月、「下期の仕込み」に乗り遅れていませんか
新年度が始まってから3ヶ月が経ち、医療・介護機関側も4月の制度改定対応が一段落する6月は、SaaS各社にとって「下期に向けた営業施策の仕込み」が始まるタイミングです。
インサイドセールスの現場でよく聞くのが、「架電リストをとりあえず県内全部にしている」「エリアの絞り込みを感覚でやっている」という話です。感覚で選んだエリアでは、月に何百本かけても反応率が安定しません。
| 📅 6月ならではの背景 ・4月の調剤報酬改定への対応が一段落し、薬局側も「次の投資」を検討し始めるタイミング ・新年度Q1の活動実績が出そろい、下期のエリア戦略を見直す時期 ・調剤薬局データベースを活用したエリア選定を今やっておくと、7〜9月の商談が変わる |
本記事では、調剤薬局データを活用して「どのエリアに集中するか」を決める3ステップを、インサイドセールス担当者が実際に使えるかたちで解説します。
2. 概要――エリア戦略に「データ」を持ち込む理由
医療・介護向けSaaSのインサイドセールスが直面する課題は、「ターゲットが多すぎて絞り込めない」ことです。全国に6万店超の調剤薬局があり、そのすべてが潜在顧客になり得る。だからこそ、エリアを科学的に絞らないと工数が分散します。
エリア戦略に使えるデータは3層構造で考えると整理しやすくなります。
| データの層 | 使うデータ | わかること |
| ①市場規模の把握 | 無料・調剤薬局基本版(薬局名・郵便番号・住所) | 都道府県・市区町村別の薬局数。エリアのポテンシャルを数値で確認 |
| ②アプローチ可能数の試算 | 有料・調剤薬局詳細データ(FAX番号・電話番号・延べ患者数) | 実際に連絡が取れる薬局の数。架電・FAXDM送付の母数を算出 |
| ③連携先の分布把握 | 有料・医療機関データ+介護施設データ | 薬局と連動する在宅クリニック・ケアマネ事務所の密度を確認 |
3. 事例:SaaSインサイドセールスが3ステップでエリアを決める
■ 目的
下期(7〜9月)の架電・FAXDM施策に向け、「自社プロダクトが最も響くエリア」を都道府県→市区町村単位まで絞り込む。感覚ではなくデータで優先度をつける。
■ ターゲット例
| プロダクト種別 | 主なターゲット薬局 | エリア選定の軸 |
| 調剤業務支援SaaS (レセコン・在宅支援など) | 在宅対応を強化している薬局 患者規模が中〜大(延べ患者数が多い) | 在宅医療が活発なエリア =訪問診療クリニックが多い地域 |
| 薬局向けCRM・患者管理ツール | 認定薬剤師在籍・患者数が多い薬局 FAX番号保有で連絡が取りやすい | 健康サポート薬局・地域連携薬局が多いエリア |
| 介護×薬局連携SaaS (電子薬歴・多職種連携) | 居宅介護支援事業所と同エリアの薬局 訪問看護STが多い地域の薬局 | 在宅医療圏が形成されているエリア =高齢化率が高い地方都市圏 |
● ステップ1:無料データで都道府県・市区町村別の薬局数を把握する
医薬介護データポータルの無料データ(調剤薬局基本版)をダウンロードし、Excelで集計します。取得できるのは「薬局名・郵便番号・住所」のみですが、市区町村別の薬局数を出すには十分です。
- 都道府県・市区町村を軸にピボットテーブルで薬局数を集計
- 自社の過去の成約データと照合し「薬局数が多いのに成約が少ないエリア」を白地候補として特定
- 人口・高齢化率など外部データと掛け合わせると「薬局密度×高齢化率」で優先度マップが作れる
このステップは無料・即日で完結します。「まず数字を見る」ための出発点として活用してください。
● ステップ2:有料データでアプローチ可能な薬局数を試算する
ステップ1で絞り込んだエリアに対し、有料の調剤薬局詳細データ(ナヴィ由来)で「実際に連絡が取れる薬局数」を試算します。
- FAX番号保有薬局 → FAXDMの送付先母数
- 電話番号保有薬局 → テレアポの架電先母数
- 延べ患者数で規模フィルタ → 患者数が多い薬局のみに絞ると反応率が安定しやすい
● ステップ3:3データのクロスで「在宅医療圏」を可視化して優先エリアを決定する
ステップ2で候補エリアが絞れたら、医療機関データ・介護施設データを重ねて「在宅医療圏が形成されているか」を確認します。
| 重ねるデータ | 確認すること | SaaS営業への示唆 |
| 医療機関データ (訪問診療実施クリニック) | 対象エリアに訪問診療クリニックが何件あるか | 在宅クリニックが多い=在宅対応薬局の需要が高い。調剤業務支援SaaSの刺さりが強いエリア |
| 介護施設データ (居宅介護支援・訪問看護ST) | ケアマネ事務所・訪問看護STの密度 | 多職種連携SaaSの訴求が通りやすいエリア。薬局導入後に介護施設側への横展開も見込める |
| 新規指定医療機関・薬局データ (毎月更新) | 新規指定・承継・移転の件数 | 動きが多いエリア=新規開拓のタイミングが多い。架電前にFAXDMで認知づけするエリア |
3データを重ねると「薬局が多い×在宅クリニックが密集×新規指定が活発」というエリアが浮かび上がります。そこが下期の最優先ターゲットエリアです。
4. 効果を上げる小技――実務で差がつくポイント
| ポイント | 具体的な方法 |
| 「架電数」より「エリア内のFAX番号保有率」で優先度をつける | 架電が多くてもFAX番号がない薬局が多いエリアは、FAXDM先行→架電フォローの設計が難しい。詳細データでFAX番号保有率を確認してから施策を設計する |
| 延べ患者数の分布でエリアの「規模感」を把握する | 同じ薬局数でも延べ患者数が多いエリアは、単価の高い薬局が集中している可能性がある。規模の大きい薬局ほどシステム投資に前向きな傾向があり、SaaSの訴求が刺さりやすい |
| 新規指定データで「開局直後の薬局」を優先リストに追加する | 新規に医療機関番号が付与された薬局(新規指定・承継・移転等を含む)は、業務システムの初期選定中である可能性が高い。通常リストとは別枠で「新規先専用リスト」を作り、優先的にアプローチする |
| 介護施設データの「開始年月日」で新規事業所を特定する | 新規の居宅介護支援事業所は、まだ連携先薬局が固まっていないことが多い。多職種連携SaaSの訴求と合わせて薬局への紹介ルートを作るきっかけになる |
5. 弊社の有料サービス――無料データの次の一手
| 無料データ(薬局名・郵便番号・住所のみ)でエリアの市場規模は把握できます。アプローチ可能な母数の試算・精度の高いターゲティングには以下の有料データをご活用ください。 |
① 調剤薬局詳細データ(ナヴィ由来)
電話番号・FAX番号・認定薬剤師の人数と種類・延べ患者数・営業時間などを収録。インサイドセールスのFAXDM送付先・テレアポリストの作成に活用できます。
② 医療機関データ
訪問診療の有無・診療科目・病床数・電話番号・FAX番号・URL・緯度経度などを収録。在宅医療圏の可視化に使える項目が揃っています。
③ 介護施設データ
法人情報・事業所情報・介護サービス種別・開始年月日・緯度経度などを収録。居宅介護支援事業所・訪問看護STなどをサービス種別で絞り込めます。
④ 新規指定医療機関・薬局データ
各地方厚生局の公開情報を加工した月次データです。登録区分(新規・承継・移転等)・指定年月日・電話番号・FAX番号・診療科目・開設者(法人名)などを収録しています。
| ⚠️ 注意:「新規指定」は医療機関番号が新規に付与された施設を指します。新規開業のみではなく、承継・移転等も含まれます。 |
⑤ DM/FAXDM発送代行
リスト整備・封入・発送・FAX送信・オプトアウト対応まで一括代行します。3データを組み合わせた発送にも対応しています。
6. まとめ――エリアを「感覚」から「データ」に切り替える
下期の仕込みは今始めるのが正解です。感覚で選んだエリアへの闇雲なアプローチをやめ、データで優先度をつけるだけで架電の反応率と商談化率が変わります。
| フェーズ | 使うデータ | アクション |
| Phase 1 エリア選定 | 無料・調剤薬局基本版 | 市区町村別の薬局数を集計。過去成約データと照合して白地エリアを特定。 |
| Phase 2 母数試算 | 有料・調剤薬局詳細データ | FAX番号・電話番号保有薬局数を確認。延べ患者数で規模フィルタをかける。 |
| Phase 3 エリア精査 | 有料・医療機関+介護施設データ | 訪問診療クリニック・ケアマネ密度を確認。在宅医療圏が形成されているか検証。 |
| Phase 4 新規先先取り | 有料・新規指定医療機関・薬局データ | 毎月の新規指定リストで「動きのある施設」を早期把握。最優先架電先に追加。 |
まず無料データで「市区町村別の薬局数」を出すところから始めてみてください。そこから見えてくる数字が、次のアクションを決めます。
詳細データのサンプルやお見積りは、お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。
参考文献・引用元
厚生労働省「調剤医療費(電算処理分)の動向」(各年度)https://www.mhlw.go.jp/