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薬局データで夏の陣を制する方法

6月に入ると、多くの健康食品・OTCメーカーのマーケ担当者は一斉に動き出します。日焼け止めや虫よけ、スポーツ飲料、胃腸薬——夏の主力ラインナップを薬局・ドラッグストアに訴求するための施策準備が始まるからです。

しかし、毎年決まって起きる光景があります。予算がそれほど多くないにもかかわらず、「全国の薬局に一斉FAXDMを打つ」という判断です。

「全国一斉」は一見スケールが大きく感じますが、実態はターゲティングを諦めた施策です。リソースが限られているなら、「どのエリアの、どの規模の薬局に、いつアプローチするか」を絞り込むほうが、圧倒的にROIが高くなります。

この記事では、調剤薬局データを使った「エリア×シーズン」ターゲティングの具体的な手順を解説します。夏の繁忙期を控えた今こそ、施策の精度を上げるタイミングです。

「北日本では虫よけより花粉症薬のほうが動く」「都市部の小型薬局は棚スペースが限られて陳列してもらいにくい」——こうした定性的な感覚は営業担当者の経験則として存在しますが、データに落とし込めているケースは少数派です。

エリア特性をデータで把握できていないと、施策の優先順位が「担当者の感覚」に依存し、毎シーズン同じ過ちを繰り返すことになります。

調剤薬局でOTC医薬品や健康食品を取り扱ってもらうには、薬局側の棚割り見直しのタイミングに合わせてアプローチする必要があります。多くの薬局では夏の棚割り変更は4〜5月に決まってしまっており、6月に「今から取り扱ってほしい」と連絡しても後手になりがちです。

さらに、新規開設薬局は既存の棚割りしがらみがなく、初回導入のハードルが低いという特性があります。このタイミングを把握できていない担当者は、最も入り込みやすい局面を毎回見逃しています。

「エリアを絞って営業リストを作る」という方針は正しくても、実際に手を動かすと膨大な時間がかかります。都道府県ごとに情報を集め、電話番号やFAX番号を調べ、リスト化する——こうした作業に追われて、肝心の施策設計や原稿作成に割くリソースが削られてしまうのが現実です。

上記3つの壁は、「データを段階的に使う」ことで突破できます。無料データから始めて、必要に応じて有料データへと移行する2段階アプローチが実務に合っています。

STEP 1無料データで「勝負エリア」を可視化する
医薬介護データポータルの無料データ(薬局名・郵便番号・住所)を使い、都道府県・市区町村別の薬局数を把握します。 収録項目は薬局名・郵便番号・住所のみですが、件数の多いエリア=潜在的な取引先母数が大きいエリアという判断には十分です。 【確認のポイント】  ・人口当たりの薬局密度が高い市区町村(競合も多いが市場規模も大きい)  ・近年、薬局数が増加傾向にある新興住宅地・郊外エリア  ・逆に、薬局数が減少傾向にある過疎地域(優先度を下げる判断材料に)
STEP 2有料データで「コンタクト可能な薬局」に絞り込む
無料データで絞り込んだエリアに対して、調剤薬局詳細データ(ナヴィ由来)を活用します。 追加で取得できる情報:電話番号・FAX番号・Email・URL・営業時間・薬剤師数・延べ患者数・認定薬剤師数など 【OTCマーケ担当にとって特に重要な項目】  ・FAX番号:FAXDMで直接アプローチできる薬局かどうかを確認  ・延べ患者数:来局客数の多い「集患力のある薬局」を優先  ・薬剤師数:スタッフが多い薬局は健康食品コーナーに人員を割きやすい  ・営業時間:土日・夜間対応している薬局は生活者との接点が多い
STEP 3新規指定データで「新規開設薬局」へのアーリーアプローチを仕掛ける
新規指定医療機関・薬局データを使うと、指定年月日とともに新規指定・承継・移転した薬局を把握できます。 【重要な注意点】このデータの「新規」表記は、医療機関番号が新規に振られた施設を指します。必ずしも新規開業ではなく、承継・移転等も含まれます。 新規開設の薬局は棚割りが固まっていないため、初回導入のハードルが低く、OTC・健康食品の取り扱い提案が通りやすい傾向があります。 指定年月日から「開設後3〜6ヵ月以内」の薬局を抽出し、シーズン前にアプローチすることで競合より早く入り込めます。

「地理軸でターゲティングする」というとき、単に「東京都のみ」「大阪府のみ」と絞るのは粗すぎます。以下のように複数の軸を組み合わせると、施策の精度が格段に上がります。

絞り込み軸条件設定狙い
エリア関東・東海・近畿の政令市周辺市区町村猛暑による胃腸不調の需要が高い人口密集地
薬局規模延べ患者数が月500人以上来局者数が多く、商品露出効果が高い
コンタクト手段FAX番号ありFAXDMで事前アプローチ、後日テレアポ
新規指定指定後6ヵ月以内の薬局棚割り未固定のため初回導入の可能性が高い
絞り込み軸条件設定狙い
エリア北海道・東北(秋の花粉シーズンが早い)秋型花粉症の需要が先行して立ち上がるエリア
薬局種別調剤薬局(ドラッグストア除く)OTCと調剤の両方を扱う薬局を優先
薬剤師認定薬剤師在籍ありアレルギー専門知識のあるスタッフが患者に推奨しやすい
アプローチ時期7〜8月にリストアップ・9月前にFAXDM棚割り変更タイミングに間に合わせる

よくある失敗原因回避策
シーズン直前にリストを作り始め、棚割りに間に合わないデータ収集・整形を甘く見ている少なくともシーズン2ヵ月前にリストを確定させ、1.5ヵ月前にFAXDM発送
全国一斉DM→反応薄→「DMは効かない」と結論づけるターゲットを絞らず母数頼みになっているまず1都市・1商品でエリアテストして反応を測る
無料データの住所だけでDM送付→返送多発無料データに電話・FAXが含まれないことを見落とす有料データでFAX番号を補完してからFAXDM、または発送代行に一任する
新規開設薬局へのアプローチが6ヵ月以上遅れる新規指定データを活用していない、または更新タイミングを把握していない月次の新規指定データで定期チェック、指定後3ヵ月以内にアプローチ
競合他社が同じ薬局にアプローチ済みで棚を先取りされているエリア選定に競合視点がない競合の主力エリアを外した「空白地帯」を調剤薬局データで発見する

健康食品・OTCの販売チャネルは調剤薬局だけではありません。医療機関や介護施設との連携で、リーチをさらに広げられます。

  • 対象:訪問診療実施クリニック(医療機関データ)+在宅対応薬局(調剤薬局詳細データ)
  • 狙い:在宅医療では薬剤師が患者宅に出向くため、OTC・健康食品の提案機会が増える
  • アプローチ:クリニックと連携している薬局を同エリアで特定し、セット提案
  • 対象:介護施設データ(サービス付き高齢者向け住宅・グループホームなど)+近隣薬局
  • 狙い:高齢者向けサプリ・整腸薬・消化器系OTCは介護施設スタッフが強く影響力を持つ
  • アプローチ:施設の近隣薬局にFAXDM→施設との関係強化を薬局に依頼する形で提案
Q 無料データでエリアを絞り込んだあと、有料データを使わずにFAXDMを送ることはできますか?
A 無料データには薬局名・郵便番号・住所のみが含まれており、FAX番号は収録されていません。FAXDMを送るには、有料の調剤薬局詳細データでFAX番号を取得するか、FAX送信代行サービスをご利用ください。発送代行では、リスト作成からFAX送信まで一括でお任せいただけます。
Q 新規指定データで「新規」とあっても、本当に新規開業とは限らないのでしょうか?
A その通りです。新規指定データの「新規」は、医療機関番号が新規に振られた施設を指します。したがって、承継や移転によって番号が新たに付与されたケースも含まれます。実際に新規開業かどうかは、現地確認や電話確認が必要です。ただし「棚割りが固まっていない可能性が高い薬局」という活用軸では十分に有効なデータです。
Q エリアを絞るとリストが少なくなりすぎて、施策のスケールが出ないのでは?
A 逆の視点で考えてみてください。全国4万件に薄く当たって0.1%が反応するより、絞り込んだ500件に濃く当たって3%が反応するほうが、絶対数は同等以上で費用は大幅に削減できます。まずは1〜2都市でエリアテストを行い、反応率が出たらエリアを広げるという二段階アプローチをお勧めします。

健康食品・OTCマーケ担当の方に特にご活用いただいている3つのサービスをご紹介します。

無料データにはない「電話番号・FAX番号・Email・URL・営業時間・薬剤師数・延べ患者数・認定薬剤師数」などを収録。FAXDMリストや電話営業リストの作成に直結するデータです。

  • 用途例:エリア絞り込み後のFAXDMリスト、テレアポリスト
  • 特長:延べ患者数・薬剤師数での規模別絞り込みが可能

各地方厚生局の公開情報をもとに作成。新規指定・承継・移転を含む施設の指定年月日・電話・FAXなどを収録しています。

  • 用途例:開設後間もない薬局への早期アプローチリスト
  • 注意:「新規」表記は新規に医療機関番号が振られた施設を指し、必ずしも新規開業ではありません

リスト作成から封入・発送・FAX送信・オプトアウト対応まで一括でご対応します。エリアを絞ったあとのアクション実行を外部化することで、マーケ担当者は施策設計と効果測定に集中できます。

  • FAXDMのみ・封書DMのみ・両方の組み合わせも対応可
  • オプトアウト管理もお任せください

健康食品・OTCメーカーにとって、薬局への訴求はシーズナリティと地域特性が強く絡み合うテーマです。「全国に薄く当てる」施策は予算を消耗するだけで、次のシーズンに活かせるノウハウも蓄積されません。

今回ご紹介したアプローチをまとめると次の通りです。

  1. 無料データで薬局数の多い「勝負エリア」を特定する
  2. 有料の調剤薬局詳細データでFAX番号・患者数・薬剤師数を取得し、コンタクト可能な薬局に絞り込む
  3. 新規指定データで「棚割り未固定の新規指定薬局」にアーリーアプローチを仕掛ける
  4. 余力があれば医療機関・介護施設データとクロスしてリーチをさらに広げる

最初は1〜2都市のエリアテストから始めてください。反応率が測れれば、次のシーズンに向けた投資判断が格段にしやすくなります。夏の繁忙期まで時間はそれほどありません。早めのデータ整備が、今シーズンの棚確保を左右します。

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